顎関節症に効果的なマッサージとは?歯科医が解説するセルフケアと注意点
「口を開けるとカクッと音がする」「朝起きるとあごが痛い」「食事のときにあごが疲れる」
こうした症状がある方は、顎関節症(がくかんせつしょう)の可能性があります。
顎関節症は、顎の関節や筋肉に負担がかかることで痛みや開口障害を起こす病気です。
近年では、スマートフォンやパソコンの長時間使用、ストレス、歯ぎしりなどが原因で顎関節症を訴える方が増えています。
この記事では、歯科医の視点から顎関節症に効果的なマッサージ方法と、その正しいセルフケアのポイントを解説します。
顎関節症の原因と仕組み
顎関節症は、顎関節そのものの異常だけでなく、咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれるあごの筋肉の緊張が深く関係しています。
代表的な原因には以下のようなものがあります。
- 就寝中の歯ぎしり・食いしばり
- 長時間のデスクワークやスマホ操作による姿勢不良
- ストレスによる筋肉の緊張
- 片側での咀嚼習慣
- 不適切な噛み合わせ
特に、ストレスや姿勢不良によって咬筋(こうきん)・側頭筋(そくとうきん)・内側翼突筋(ないそくよくとつきん)などがこわばると、顎関節に負担が集中し、痛みや音の原因になります。
顎関節症に効果的なマッサージの目的
顎関節症のマッサージは、「関節を治す」ことではなく、筋肉の緊張をゆるめて血流を改善することが目的です。
筋肉の緊張を緩和することで、痛みやこわばりが和らぎ、顎の動きがスムーズになります。
ただし、マッサージのやり方を誤ると、かえって症状が悪化することもあります。
そのため、痛みが強い場合や、口がほとんど開かない場合は、まず歯科医院で診断を受けることが大切です。
歯科医が推奨するセルフマッサージの方法

ここでは、歯科医院でも指導される代表的なセルフマッサージを紹介します。
鏡を見ながら、無理のない範囲で行いましょう。
1、咬筋(こうきん)のマッサージ
位置:ほほ骨の下、奥歯のあたりを軽く噛むと動く部分。
- 指の腹(人差し指・中指)を使い、頬の中央あたりを軽く押す。
- 円を描くように小さくゆっくりとほぐす(5〜10回)。
- 痛気持ちいい程度の圧で行い、強く押しすぎない。
咬筋は最も負担がかかりやすい筋肉で、食いしばりによって硬くなりやすい部分です。
温めながら行うとより効果的です。
側頭筋(そくとうきん)のマッサージ
位置:こめかみの少し上、耳の上あたり。
- 指の腹でこめかみを軽く押さえる。
- 小さな円を描くようにゆっくり動かす(10秒ほど)。
- 深呼吸しながらリラックスして行う。
側頭筋は、長時間の緊張やストレスで硬くなりやすい筋肉です。
マッサージに加えて、休息や姿勢の改善も重要です。
顎下(がくか)・内側翼突筋のマッサージ
位置:下あごの内側、あごの付け根あたり。(咬筋の奥、下顎骨の内側に位置する深層筋)
- 親指をあごの下に軽く当て、内側に押し込むように優しく圧をかける。
- 軽く口を開けながら行うと筋肉がゆるみやすい。
- 片側ずつ10秒程度を目安に行う。
この部分はリンパの流れにも関係しており、老廃物の排出促進にもつながります。
マッサージ前後のポイント
温めてから行うと効果的
蒸しタオルで頬やこめかみを温めると、筋肉が柔らかくなりマッサージ効果が高まります。
痛みが強いときは中止
無理に押すと筋肉や関節を痛める可能性があります。
リラックスした状態で行う
深呼吸しながら、力を抜いてゆっくり行うのがポイントです。
顎関節症のセルフケアで大切な生活習慣
マッサージと合わせて、次のような日常生活の見直しも重要です。
正しい姿勢を意識する
長時間のスマホやPC操作で前かがみになると、顎が前方にずれて関節に負担がかかります。
背筋を伸ばし、あごを軽く引く姿勢を意識しましょう。
片噛みを避ける
片側ばかりで噛む癖は、筋肉のバランスを崩す原因になります。
左右均等に使うことを心がけましょう。
やわらかい食事ばかりにしない
痛みが強いときは無理せず柔らかいものを食べますが、症状が落ち着いたら少しずつ通常食に戻すことも大切です。
筋肉を適度に使うことで血流が改善します。
ストレスを溜めない
精神的ストレスは無意識の食いしばりにつながります。
深呼吸、軽いストレッチ、睡眠の確保など、リラックス習慣を取り入れましょう。
歯科医院での専門的な治療も検討を
セルフマッサージや生活習慣の改善で症状が軽減する場合もありますが、「口が開かない」「痛みが数週間続く」「顎がずれている感じがする」といった場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
- 即効性のあるレーザー治療
- 咬合調整
- 筋肉リハビリ・理学療法
- 姿勢指導
- スプリント(マウスピース)治療
歯科医院では、上記などの顎関節症の原因に合わせた専門的治療を受けることができます。
まとめ:正しいマッサージで顎関節をいたわる
顎関節症は、日常生活の中で誰にでも起こり得るトラブルです。
適切なマッサージとセルフケアを取り入れることで、痛みの軽減や再発防止が期待できます。
ただし、症状が長引く場合や強い痛みを伴う場合は、自己判断でマッサージを続けず、必ず歯科医に相談してください。
早めの診断と治療が、健康な顎を守るための第一歩です。
